ABOUT
作品紹介・世界観
あらすじ
柿興市。駅前商店街の古いビルの一室に、小さな事務所がある。
看板には、ただ一言——『代書屋いんく』。
主人公・朱野音九は、人生の岐路に立つ人々のもとを訪れ、その決意を書類という形に変えていく。
夢を追う少女の契約書。再起を誓う父と娘の申請書。
柿興市について
駅前から続く商店街には、何十年も変わらない店が並ぶ。
パン屋、八百屋、本屋、そして小さな花屋。
春には菜の花やチューリップが店先を彩り、
季節ごとに違う顔を見せてくれる。
商店街のアーケードを抜けると、
古いビルが立ち並ぶ通りに出る。
錆びた看板、冷たい手すり、ひんやりとした空気。
そのうちの一つの二階に、『代書屋いんく』はある。
遠くで踏切が鳴る。
電車が通り過ぎる音。
誰かが、この街を出る音。
誰かが、この街に帰ってくる音。
柿興市は、誰かの夢の始まりであり、
誰かの諦めの終点でもある。
そして、誰かの新しい一歩が生まれる場所でもある。